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  [ブランド名]
ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)

[解説]
 アジアやアフリカのエスニック(民族調)スタイルを上手に採り入れている、エキゾチックさとハンドクラフトが魅力のブランドです。素材の吟味に情熱を傾けることで有名で、特にニットのマテリアルは抜群。

 ベルギーのアントワープ王立芸術アカデミー出身。アン・ドゥムルメステール(Ann Demeulemeester)氏、ダーク・ビッケンバーグ(Dirk Bikkembergs)氏らとともにいわゆる「アントワープ6」の一人です。1988年、ロンドンで作品を発表し、ファッション界の新潮流となった彼らですが、もう中堅の域に達しつつあります。

 通算50回目のコレクションを記念した2005年春夏パリコレクションで、ノッテンは長さ250メートルものディナーテーブルをキャットウォークとして使い、絶賛を浴びました。500人の観客がテーブルをはさんで向かい合わせに着席して料理を食べた後、テーブルの上をデザート代わりにモデルたちが歩き始めるという演出でした。内容はルーマニアの民族衣装に着想を得たデザインで、「マルチエスニック」を作風とするノッテンの本領発揮というところでした。

 花柄のプリントや花模様の刺繍など、花のモチーフがお得意。時には柄物に柄物を合わせる思い切った組み合わせも提案しています。色は全体としては多彩でいながら、黒や茶などの落ち着いた色がベース。ただ、ファブリックと染色のマッチングを掘り下げ、真似のできないような深みのある発色を実現しています。

 洗練されたレイヤード(重ね着)提案も持ち味の一つです。中間色の重ね着はくどすぎず、適度なボリューム感があります。ジャケット、ブラウス、スカートなどのベーシックアイテムのほか、ストール、手袋などを組み合わせると、ノッテンらしいノスタルジックなエレガンスが醸し出されます。単品買いしてももちろんそのエッセンスが生きるところが「ノッテンマジック」です。

 わざと色あせたようなプリント柄やエコロジーな素材選び、鮮やかすぎない色使いなどに、アンティークな風合いが感じられます。古着のようなこなれたテイストですが、古くささはなく、シンプルなシルエットの効果もあってか、若々しさが感じられます。

 仕立て・生地店の生まれだけに、テクスチャーや素材への探求ぶりはほかのデザイナーからも一目置かれています。その丁寧なマテリアル選びが、びっくりするような着やすさを生みました。職人気質のテーラーリングの技術が、リラックスして着られる着心地の裏地となっています。

 敬意を込めて「ファッション・ノマド(遊牧民)」と呼びたい作風です。2002―2003年秋冬では中央アジアの国、トルクメニスタンの刺繍布から発想したコートが登場しました。

 シルクロードをはじめ、世界各地にインスピレーションを求めていますが、安易な借り物ではありません。西洋と東洋をデザイナーの内部で融合させた、文化の重ね着感覚が「ノッテンワールド」です。インドの織り布、アラビア風のプリント柄に和服風のコートをミックスさせるなど、スーパーエキゾチックな着こなしに挑戦したくなります。

 全体に形は細身でシンプル。でも。ふんわり丸く膨らんだスカートや、裾がアシメトリーのスカートなど、細かい仕掛けは豊富です。基本のフォルムは身体を締め付けない、イージーウエアリングなものが主流となっています。アイテムには個別に名前が付いているので、買うときにはタグを見て、デザイナーのイメージを確かめながら選ぶ楽しみもあります。

●ブランドデータ


[本国]
オリジナルショップはベルギー(アントワープ)。コレクションはパリ


[経営・日本での展開]
 「ドリス・ヴァン・ノッテン」ブランドは、伊藤忠商事が1996年にマスターライセンシー契約を結び、国内販売に乗り出した。アパレル商社の旧ライカ(RAIKA、大阪市)がサブライセンシーとなっていた。しかし、ベルギー本社が自主展開に切り替え、今は主にセレクトショップで販売されている。東京・青山の南青山店は2003年1月に閉鎖された。

 「レノマ」や「カステルバジャック」「ピア・スポーツ」を展開してきた旧ライカは2003年11月に民事再生法の適用を申請。伊藤忠と組んでイタリアの紳士服ブランド「エンポリオ・アルマーニ」も87〜91年、展開した。同法申請後、伊藤忠がライカの主な事業を約100億円で譲り受けた。新生「ライカ」は伊藤忠グループの傘下で早期再建を目指している。

 旧ライカはニューヨークの有名ジャズレストラン「ブルーノート(Blue Note)」も東京や大阪で展開。この事業も新生「ライカ」が引き継いだ。

[歴史]
 ドリス・ヴァン・ノッテン氏は1958年、ベルギーのアントワープで、生地・仕立て店の家に生まれた。80年、ファッションの名門、アントワープ王立芸術アカデミーを卒業。同アカデミーでは1年生は基礎、2年生は歴史的なコスチュームの再現、3年生は民族衣装の研究、4年生でようやく自由創作ができるという。ノッテン氏にとっては3年次での民族衣装の掘り下げが後に大きな影響を与えたようだ。

 ベルギーの若手デザイナー6人が88年、共同でロンドンコレクションに参加して話題を呼んだ、いわゆる「アントワープの6人」の一人。91年にパリでメンズコレクションを発表。93年にはパリでレディース部門をデビュー。

 85年にアントワープに小さな店を構え、89年には本格的なブティック「Het Modepaleis」をオープン。97年に東京店を南青山に開いたが、2003年に閉鎖。

 日本で早くから「ドリス・ヴァン・ノッテン」を手がけてきたのは、セレクトショップ大手のビームス(BEAMS)。86年から本格展開している。伊勢丹が「ドリス・ヴァン・ノッテン」を初めて販売したのは96年で、ビームスの方が約10年も早い。

[現在のデザイナー]
ドリス・ヴァン・ノッテン氏


[キーワード]
エスニック、ハンドクラフト、「アントワープ6」、レイヤード(重ね着)


[魅力、特徴]
 生地へのこだわりがすごい。イメージはベルギーの「ヨウジ・ヤマモト」。大きな花柄のボリュームスカートなど、スカートがとてもフェミニン。エスニックテイストが有名ですが、決して安っぽくはなくて、エレガントな民族調になっています。

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